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僕の秘密
僕は学校から帰ると直ぐに隆君の家に向かった。
学校が終わったら近所の公園で遊ぶ約束をしていたからだ。
僕と隆君の家はそんなに遠くない近すぎる事もない。
歩いて8分くらいのところだ。公園は僕と隆君の家の丁度中間地点にあった。
今日は虫取りをする約束をしていた。いつも行く公園にはバッタがたくさんいた。
僕と隆君は昆虫が大好きだ。皆んなはゲームに夢中だけど僕は昆虫採集の方が好きだ。
僕は高橋隆君の家に着いた。お母さんに「夕焼けチャイムがなったら帰ってくるのよ」と玄関先で言われたから夕焼けチャイムを守らないとお母さんの雷が落ちる。
僕はこの日、いつもと同じように高橋隆君の家のチャイムを鳴らした。
「隆君〜虫行こう」
「わかったー相変わらず翔太君来るの早いね。行こう行こう」
「どっちが多くバッタ取れるか競争しようよ」
「いいねー競争しようか」
僕達はまだ暑い日が続く夏休みが終わったばかりのこの日、公園で虫取りをしていた。
夢中で虫を取っていると時間は直ぐたってしまった。
「キンコーンカンコーン……遊んでいるお子様はお家に帰りましょう」夕焼けチャイムの音が聞こえた。
「えーもうそんな時間?まだ遊びたいのに〜早すぎるよね」
「仕方ないよ誘拐でもされたら大変だから帰るんだよってお母さん言ってたよ。僕達まだ小学校2年生だから悪い人に狙われちゃうかもしれないから」
「それってお金持ちが狙われるんでしょう?」
「そうとも限らないらしいよ。お母さんが言ってた」
「そうなんだー。僕はお金持ちじゃないから大丈夫だと思ってたよ」
「僕んちだってお金持ちじゃないよ」
「お母さんに怒られるから帰ろう」
「そうだね。お母さんが1番怖いよね」
「この前、テレビで言ってたんだけどさー昔怖いものって言ったら地震雷火事親父って言ってたんだってー」
「今は違うよね。お母さん地震雷火事の順番だよね?」
「そうそう、早く帰らないとじゃあねー隆君」
「じゃあね翔太君」
僕はこの日も隆君と遊んだ後自分の家に向かっていた。
その時、僕は自分の足元に小さな卵があるのを見つけた。
「何だろうこの卵?小さいから鳥の卵かな?そうだうちに使ってない物置があったなーあそこでお母さん達に内緒で卵を温めてみよう。きっと鳥なのかもしれない。木から落ちたのかな?死んでいるようには見えないなー」
僕はポケットにその小さな卵を入れて自分の家の玄関近くの物置の中に入れた。まだ暑いから卵はきっと温まるはず。
僕はこの卵から何が生まれるか楽しみだった。
お母さんに内緒で僕は小さな卵を育ててみようと決心した。
何が生まれても生まれた後も大切に育ててみようと思っていた。
翔太の心は卵から何が生まれるのか楽しみで心がわくわくしていた。
続く
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