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   ちゃぶ台に置いたスマホが鳴り、メッセージが入る。 メッセージ「鳥、オーディションの練習、進んでいる? たぶん、ペットのテストは十六小節からだよ」とメッセージ。    鳥はスマホ画面を無感情に見つめると、スマホを裏返す。    開けっ放しの窓の手摺に小鳥がやってくる。    ぼけっと鼻歌を唄う。 鳥「見えない自由が欲しくてぇ、見えない銃を撃ちまくるぅ」    近くの棚に手を伸ばし引きだしを開けると、そこから拳銃を取り出す。 鳥「本当の声を聞かせておくれよぉ」    拳銃を構えると、窓の小鳥に向かってトリガーを引く。    小鳥が外へはばたく。    拳銃は、ガチャっと起動するだけで発砲はしない。    拳銃を持ったまま仰向けになり、じっと天井を見つめる。 鳥「グッド、タイミング」 〇田舎町・全景    海に面した地方の田舎町。    海岸沿いを電車が走っていく。 〇駅    緑山が電車を降りてくる。    平然とホームを歩いていくが、駅員に呼止められる。 駅員「そっちへ、何か御用ですか?」 緑山「ん? 改札だが?」    駅員、首を傾げる。 駅員「そっちは改札じゃないですよ」    ホームの反対側を指さす。
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