100年に1人の逸材

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100年に1人の逸材

 「ねえ、たつき。どうすんの??」  「何が?」  「惚けないでよ。告られたんでしょ?大翔(ひろと)先輩に」  「あー…」  ホームルームの後、クラスメイトの真希(まき)が、嬉しそうに話しかけてきた。  真希とは中学時代からの幼馴染で、親友の1人でもある。  高2にしてようやく彼氏ができるんじゃないかと、目を輝かせていた。  学校でも1、2位を争うイケメンに告られたとあって、クラスでは一大ニュースになっていた。  確かに、誰かに告白されるなんて夢にも思わなかったし、しかも相手はあの“大翔先輩”。  バスケ部のエースで、次期キャプテン候補。  噂じゃ、勉強もできるって話だった。  非の打ちどころのないハイスペック男子とあって、女の子たちがこぞって目を光らせていた。  「絶対に付き合うべき」とか、「断る理由がない」とかで。  私は、正直恋愛とかよくわかんないタチだった。  誰かを好きになったこともなければ、恋バナに興味を持ったことも。  「ボクシングばっかに気を取られてないで、そろそろ女の子らしくなりなよ」  「…ああ、うん」  余計なお世話だな。  そう言いたい気もしたけど、頭の中は上の空だった。  有頂天になっていたわけじゃない。  大翔先輩のことは、正直なんとも思ってない。  それが本音。  …ただ、最近になって少し気になることがあった。  よくわかんないんだけど、他に気になる人がいるっていうか…
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