堅物の信繁が「恋愛の神様」と渾名された訳

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全女子職員ばかりで無く、男性職員にも憧れられ又は畏怖される信繁はどうやら今日偶々、非番だったらしい 常日頃多忙で有名な彼は、首を回すと彼等とはちょっと離れたところで1人ポツンと、静かに黙々と何かの勉強を進めていたのが見えた 「アイツ何やってるんだろ?」 「資格試験勉強だよ、資格試験 〜最新型の飛行艇『上級試験』用だってさ」 「げぇマジかよーーーー 合格者がメチャ少ないっつー滅多に受かんねー”中級”一発合格かよ」 「らしいよ」 「ケッ」 「で今、信繁の学んでるヤツな? 一般人は教育ファイルを開示した途端にバッタリ意識がすっ飛ぶって言う呪いの超難解激ムズテキストなんだってさ、噂によると」 ウワーッと言うしかめっ面、やさぐれた彼等が見つめた感じでは信繁は平然とかわらず黙々 〜恐るべき事にテーブル上の荒んで荒れた様子から何時間もこなしている模様 「タダでさえメチャ忙しい班長職だろ? 滅多に取れない貴重な休みぐらい、ゴロゴロ体を休めればいいのにさ!」 「イヤ、生真面目で几帳面なアイツのことだから ムシロ躊躇わず、この時とばかりに早朝から猛勉強してるんだろうなぁ」 しかも信繁は何故だか、どうやら自分の部屋で1人で行うよりも、ガヤガヤ騒がしい人いきれがあった方が、勉学に集中力が増す性分らしい   で〜結果 イヤでも他人にも進捗状況が目に付くのだ 見た感じ、かなりの激闘、テス勉も佳境も佳境、追い込みの様だ   そのせいか? 周囲に同班のイケメン狙撃手、一日中殆ど信繁の側に付いている彼の相棒である子龍と、班の頭脳といって良いバッハ大好きピアニスト美少年、おねいさま方に大人気「キャーカワユイ美少女♡」な雅の姿が無い 両者ともコミュケーションオバケ、異様に気の回る彼等は勉学にいそしむ友人の神経に障らぬよう気遣い、どうもそっと席を外したと思われる 様々なモニターとガチャガチャな何枚もの積み上げられた記録チップに埋もれながら、ひたすら一時も休むこと無く忙しげに作業している様子   勉強成果の入力を、カチカチ大きな手の綺麗な指先が行っている   勉学に勤しみ ギュッと集中した真剣な表情の眼差しが益々凜々しい ーーー人間の出来が違いすぎる 特殊部隊隊員達以外の一般職の女性職員達が、信繁の事を先程からずっ〜と瞬きを忘れて見つめているのも頷ける、素晴らしい美しさと爽やかさだ 一般職種である上品な女性職員らの表情はボゥッとうっとり、甘やかでキュート、トロントロンに桃色に蕩けている 全員が全員、目を潤ませながら清く正しく信繁を遠巻きに見つめる熱く切ない姿 そんな艶姿がそこら中に点在している現状は正直に言おう、男として大変にムカついた 『く〜〜〜!俺達が見てもアレはない』   『嫉妬の塊が服着てちんまり座ってるみたいだぞ!』 ムムムッ〜〜と思わず眉間にヘンな皺が深く寄る 半径1m 俺らとは圧倒的空気感の爽やかさが全然違うのは何故だ!! ばかやろ〜〜〜!! 男達全員の総意だった
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