過去

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あれ以来、愛だの恋だのそんな夢物語を見るのはやめた。 とにかく借金を返すことだけを考えてきた。 中でも、やばいところから借りたやつは、利子がえげつなく、取り立ても半端ない。 一番稼げるのはホストだったけれど、致命的と言えるほど酒に弱いせいで、それでは全然金にならない。 それでキャバクラの裏方やデリヘルの送迎なんかを始めたら、女の子がご飯を奢ってくれるようになった。 優しくすると、お小遣いをくれるようになった。 それで、浮いた金を借金の返済にまわした。 俺が騙されたように、俺も同じことをしてやる―― いつしかそんなふうに考えるようになった。 そんな生活を続けてきて、ようやく借金は残り400万までになった。 でも、借金が減るのと同じくらい、自分の中の何かもすり減っていった。 雅の言う通りにして、借金を返し終えたら、一体俺はどうやって生きていけばいいんだろう? きっとこの生活からは抜け出せない。 ニイナから言われた言葉を思い出した。 『柊ニ、あんたはちゃんと恋愛しな』 それって誰と? ニイナ、知ってるか? 恋愛には相手が必要なんだ。 唯一マシな関係だったお前も、俺の前からいなくなったじゃないか。
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