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『世界に生まれいづる者、さぁ運命を選びなさい』
目覚めたばかりの私は、天上から聞こえてきた不思議な声に従い、色も形も厚さもバラバラの大量の本の中からたった一つの自分の運命を吟味する。
ただし、本は開かない。
選び終えると、自分が選んだ『運命の一冊』をギュッと抱きしめた。そして、世界から呼ばれるのを待ちながら、花が咲き誇る美しき場所で優しい光に包まれ、私は眠る。
人の時間に換算したら、何日、何年、何十年、何百年、何千年……どれだけ待つのか誰にもわからない。
長く短い時の中。
一人ぼっちの私は眠った。
たまに眠りから覚める時がある。
そんな時は美しい花を愛で、静寂に耳を澄まし、ふわふわと散歩をし……そして『運命の一冊』を抱きしめ、また眠りにつく。
この本に書かれた運命を辿る日を夢に見ながら。
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