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ねえ、知ってた?この世界には顔の似た人間が何人か存在するんだって!
「ねえ、みこたんせんぱ〜い」
「次そのあだ名で呼んだらぶっ殺しますからね」
「つれないな〜そんな所も最高だね!」
「野郎にそんな事言われた所で何の利益があるんですか?」
この、親でも殺されたんかみたいな冷めた目で見てくるツンデレの青年は私の2つ上の『幽雨 覡操』先輩で私と名前が同じの上に顔までそっくりで
周囲には「性格が違う双子」ってよく言われるんだ〜!
まあ、彼とは血縁関係も何も無いんだけどね〜!
「君達、いつも双子漫才やってるね」
「あ!あゆたん先輩!」
「なんか有名な歌手みたいで嫌な気はしないけど男なんだよね俺……」
と苦笑しながら、学年ひとつ上の薬袋 歩夢先輩は私達を何時もの呆れ半分な笑顔を向けてくる。
そう、私達は違う学年でありながら仲が良い。まあ、男の友情に垣根なんて無いよね〜とか言ってみたいセリフではあるんだけど、そういう訳ではなく、私達には『生徒会』という繋がりがある。
覡操先輩は会計で、歩夢先輩は書記、そして私は
「ほら、やってください。生徒会長サマ?」
「その言われ方本当に嫌だな〜!何でちょっとでかい家だからって先輩達を差し置いて会長にならないといけないんだろ〜!」
「まぁまぁ、しょうがないって。ちょっとじゃない位でかい家なんだから」
そう、不服ではあるんだけど私の家は守旺条家と言われる代々権力のある政治家であり、とある村では『御三家』という大層な呼ばれ方をしている名家のひとつだけど、私は正直このギスギスとした場所に完璧な姿で居続ける事が出来るほど程、優秀な人間でもないから周りには腫れ物扱いされていたりする。
「家なんてクソ喰らえですね。そんな事より貴方によって生徒会に入れられた僕の方が不憫です」
「とか言いつつ丁寧な真面目そうな口調なのに、小賢しくサボってるじゃないか君」
「そうだよ!みこたんはさ!さぼりすぎだよ!バレた瞬間仕事が増えてるの私だから!」
こんな事を言ってる覡操先輩と歩夢先輩は私を腫れ物の様に扱ったり媚びたりしない貴重な友人だからつい一緒に居てしまうんだよね〜。そんな会話をしながら作業してたら直ぐに時間は過ぎ去って辺りは暗くなり十八時のチャイムが鳴り響き帰宅の時間が来る。
そして、三人でいつもの様に他愛ない会話をしながら帰る。学校から家の近い歩夢先輩とは先に別れて覡操先輩と途中まで帰るのが一日のルーティンになってるんだ〜
「ね〜、みこたん〜?もしもなんだけど、未来が解る本を見つけて死にますよ〜!とか書かれてたらどうする?」
「まあ、僕は物体に乗り移れますので死にはしませんね」
「あ〜確かに!」
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