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とはいえ、その日の経験は想像以上のものだった。
本来なら医療知識の必要ない業務が仕事である看護助手の私が、慌ただしく動き回る先生や看護師からの指示で患者さんの傷口を洗浄したり消毒をしたり、血圧を測ったり。
緊急時の規約に基づき、初めて先生や看護師たちの補助を行なった。
怖じ気づいて震えているヒマなんてなかった。
焦っていても、次から次へと指示が出て、その対応に追われた。
病院というのは、すごい場所だ。
そこで働く医師や看護師も、本当にすごい人達だ。
院内を駆け回る姿や、医療行為を目にする度、そんなことを改めて感じた。
「望月さん、お疲れ様。今日はもう帰っていいわよ」
そう言われ、やっとひと段落ついたのは、もうすぐ日付けが変わろうとしていた頃だった。
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