宿題はコツコツしよう

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宿題はコツコツしよう

 お母さんに怒られた後、部屋に閉じ込められて夏休みの課題のやり直しになった。あまりに理不尽すぎる。こんな問題普通なら、一日じゃ終わらない。  しかし、つい先ほど魔法の練習をして習得した新技。「思考力加速」と「身体能力向上」だ。これを組み合わせれば、お茶の子さいさいだ。夏休みの宿題だって3時間で終わってしまう。でも、魔力の使い過ぎはそのあとの魔法の練習に支障が出るからあまり使いたくはない…………。  だが、四の五の言っている場合ではないので、全力で取り掛かる。  二つの魔法を発動させると、世界がクリアになるように感じた。体の動きが速くなったのを感じるというよりは、時間の流れがゆっくりになったような感じだった。  よし終わらせるぞ~~~。  体感は1時間が立ち、やっとの思いで課題を終わらせて、魔法を解除する。外を見れば夕日は沈んでいた。魔法を解除すると鳥のさえずりが聞こえてくる。少しだけ過剰で合唱と言う感じだ。  すると、ルルが俺の隣で寝息を立てていた。全く気付かなかった。  それに涙を流していることから、駄々っ子のように泣きわめていたことがわかる。世界がいつも通りに動き始めたと思ったら、お父さんとお母さんの喧嘩をする声も聞こえてくる。 「あれ?さっきまでは音1つすら聞こえなかったのに…………」  もしかして、この魔法は音が消えてしまうのではないだろうか?そんな仮説を立てていると、いきなりルルが起き上がり、俺の袖辺りをつんつん引っ張る。 「ノルさま~~。課題を教えてくださいます」  独特な二重敬語だなと思いつつも、教科書を見ると小学校1年生レベルの問題が一切進んでいないことが分かった。 「もしかしてお前…………。勉強ができていなくて、ここに閉じ込められているな?」 「そうだす。」  なんだか非常に自慢げに答えるルル。それはいっそ清々しい。  「なんで俺がお前の課題をしないといけないんだよ」  すると、ルルの言葉のボルテージが一気に増す。声量だけでなく、熱さも感じる。 「何を言っているます。これはノルさまのためだす。」 「どういう事なんだ?」 「私の課題を解いてもらって、ノルさまの神童としての力を強くするだす。」  何を言っているんだ、このダメダメイドは…………。 「あほなノルさまにこれを解かせるます。頭よくなるます。私をあがめるます。」 「なんで俺に仕えている癖に、お前をあがめさせようとするんだよ。」 「私は優しいからだす!!!!」  自分をだきしてめて、感激に震えているルル。こんなやつの言葉に「!」は4つもいらない。空気の無駄遣いだ。  すると、急にボルテージが下がり、冷たく言う。  「だから、さっさと私の問題を解きやがれどす。」  そういってノートを突き出してくる。 「なんで、上から目線で来るんだよ。お前、ほんとにメイドって職業のことわかってる?」 「分かってるます。主にテキト~~にけいご?をつかうます。つまり、わたしのことます」  自慢げに自分を指さしながら、しまいにはウィンクを着ける始末。しかも、半目だ。目が閉まり切っていない。ウィンク下手だな。  それと同時にお願いする側の癖に上から目線なメイドに少しばかり腹がった。  このメイドの冥土の土産に、知名度の高い僕から人生のチェックメイドしてやろう。 「いいか。お前はメイドの何たかるかを一切分かっていない。結論から言おう。お前はメイドに向いていない。」  自分でもびっくりするくらいの声だった。なぜなら、隣の部屋の両親の喧嘩の声をかき消すほどだ。  その時、ルルの驚きのあまり唖然とする表情。口がポカ~~ンと開いている。  しまった言い過ぎた。こんな子供に言い過ぎてしまうなんて…………。  よくよく考えれば、俺はすでに二十歳を迎えているといっても過言ではない。そう、前世では成人しているのだ。にも拘らず、7歳の女の子に対して向きになってしまうなんて…………。  「ノルさま~~、あんまりです……そんな言い方はないと思います。」  俺は彼女の震える声が聞こえてしまい、思わず目をそらしてしまった。泣いているのだろうか?怖くて見ることができない。  ごめん、そう告げる前に彼女の声が俺の言葉をかき消す。 「なんでそんな生易しい言い方をするだすか~~~。もっときつい言葉を言って欲しいだす。なんだか、少しだけゾクゾクしたます。」  もしかしてコイツ…………ドエムなのかよ…………。  そのあとも強く言うことを必死に求められたが、俺が負けを認めてしまった。  結局、彼女に対しての強い言葉を言ってしまったことへの罪悪感から宿題をすることになった………………。  それにしてもコイツどんだけ課題を溜めてたんだ。俺の時より多いんだけど?
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