第一章 悪魔使いがおりました

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 放っておくといつまでも見入ってそうな様子なので。  アイラはそっと手を出してドレスを衣装箱にしまった。 「さあさあ。あまり油を売っていると、子爵様に怒られますよ。どうせ家庭教師の授業をサボっていらしたんでしょ?」 「ムウ。だって地政学って、面白くないんだもん」  プウ。と頬を膨らませる。  外国の話やその土地の珍しい特産品の話などは、決して嫌いではないのだが。地政学とは単なる地理の学問ではない。地理を政治・経済の面からどう利用し、国家のために利益となるよう活用するか。そういう学問なのだ。  その土地にはその土地に生まれた人々が住んでおり、特産品はその人々が丹精込めて作ったものだ。  それを高みから見下ろして、利潤だけ掠めとるような。  そんな学問は、パルフェは好きになれないのだ。
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