第一章 悪魔使いがおりました

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「学問は貴婦人のたしなみですよ。パルフェ様も将来、どこかの貴族の方に嫁ぐのでしょうから。ちゃんと教養を身につけておかないと」 「……ずっとここにいるってのは、ダメなのかなあ?」  少し退屈だが、平穏で暖かく。  毎日が楽しいニアメ子爵領での生活。  世話役のニアメ子爵に家庭教師のアスラン。  家政婦のディアナや料理番のホエル。  みんな優しく楽しい人たちだ。  彼らといっしょに、ずっとここで暮らしていきたい。  そんなパルフェの少女らしい夢に。  アイラは柔らかく苦笑する。 「ダメとは言いませんけど。普通は年頃になると、男は独り立ちして、女は嫁入りするものですよ。パルフェ様は仮にも王族の血をひく方なのですから。きっと素敵な殿方たちが放ってはおきませんよ」
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