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「分かった。ありがとう。仕事の邪魔してごめんなさい」
「いえいえ。いつでもいらしてください」
また来るから。と手を振って、パルフェは店を出ていく。
軽い足取りで元気よく去っていく姿を、アイラは窓越しに見送った。
実を言うと、同じ女として、アイラはパルフェの気持ちがよく分かった。
貴族や王族の婚姻は一族の命運を左右する大事であり、個人の希望は反映されないことがほとんどだ。たいていは親や本家が勝手に決めた相手と結婚することになる。
それに、貴族の女は子供を生むための道具、と考えられている。衣食住に困ることはないし、雑事はすべて家政婦や執事がこなしてくれるが。常に夫をたてて、後ろに控えていなければならない。気軽に出かけることはできないし、貴族同士のつき合いにも気を使う。
男は自由に道を切り開いていけるが、女は家でじっと待つだけ。自由になることなど、あまりない。
アイラはそれが嫌で、あえてこの歳まで独身できたのだ。
この選択が正しかったのかどうかは分からないが。
少なくとも後悔はしてない。商売もそこそこ順調だ。
アイラは少し自嘲気味に笑ってから。
奥の作業場に戻って、仕事の続きを始めた。
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