第一章 悪魔使いがおりました

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「ねえアスラン。今年はお母様に何をプレゼントしようかな? やっぱり花かしら? でも花ってすぐに枯れちゃうじゃない? ブローチか何かのほうがいいかな?」 「そうですねえ。姫様のプレゼントなら、何でもお喜びになると思いますよ」  ニッコリと微笑んでそう答えたのは。  20代後半ぐらいの青年。  明るい茶色の瞳。通った鼻筋と柔和な口元。  肌は男にしては色白である。  青みがかった髪をうなじの後ろ辺りで無造作にくくっていて、頭には学者がよく被る鍔のない帽子を乗せている。  服も学者風のゆったりとしたものだ。  アスラン・テノールド。  ニアメ子爵に雇われている、パルフェの家庭教師だ。
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