第一章 悪魔使いがおりました

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 ここは子爵の邸宅。  二階にあるパルフェに与えられた幾つかの部屋の一つで、書き物などをするための書斎になっている。  アスランの授業はいつもこの部屋で行なわれるのだ。  のだが。パルフェは授業そっちのけで、夏至祭で母親に送るプレゼントについて、あれやこれやと思案していた。 「でもお。どうせなら形として残る物のほうが良くない?」 「プレゼントというものは、送る人の気持ちがなにより大切なんですよ。花であれ宝石であれ。あなたの心がこもっていれば十分です」 「うう~~ん。でも喜んでほしいじゃない? 花はすぐに枯れるし、かといって装飾品というのもなんだかゲンキンだし、人によって好みがあるし」  パルフェは、鼻をムニムニいじりながら熟考する。
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