パンドラの天使

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「日の出とともに、あなたは天使として神の前へ呼び出され、公的に天の軍勢の一員となります。では、明日の朝に、また」  姿の見えない天使の声をかき消すように、一階から母の声が聞こえた。 「ご飯できたよ。今日も遅くなってごめん」  いつもなら、遅すぎだよ、なんて思った言葉なのに、今日は舌打ちをしたくならない。穏やかな気持ち。それはあの壷から出てきた天使のおかげだけど、明日の朝を思うと、深いため息が漏れた。
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