346人が本棚に入れています
本棚に追加
*
千夏に呼ばれて、教室を出ようと机の間をすり抜ける。
「あきー、バイバーイ! 明日ね!」
「うん、また明日!」
「明日、泣くなよー」「あはは、わかってるって!」
友達がかけてくれる言葉はいつもと全く変わらないようでいて、いつもと違う緊張感が混じっている。 それはあき自身にも言えることで、気を抜くと今すぐにでも泣いてしまいそうだ。
「あきー、帰りどうすんの?」
「今日は春希と帰るんだー! 千夏っちゃんと冬人くんと四人で」
春希と口にするだけで心が弾む。 あきは春希のことが大好きだ。 そんなあきに、友人があきれ顔でため息をついた。
「そっか。春希くんと……ちゃんと話しなよ?」
心配してくれているのが痛いほどにわかって、あきはまた泣きそうになった。「……うん、わかってる! じゃまた明日ね」 明日、あきたちは卒業する。 あきの高校生活が、終わる。
最初のコメントを投稿しよう!