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10分後。
コンビニで必要な物を買い揃えて家に戻ってくると、咲人はベッドで眠っていた。
相当体辛かったはずなのに。
今は頼れる人がお互いしか居ない。
大学でもそれなりに友人は出来たかもしれないけど、こんなにお互いに素を出し合える人居るのかなって。
咲人の場合は特に、私にはこんなに甘えてくるけど人に上手く甘えられる方じゃない。
よく咲人は私の事、可哀想って言うけど、本当に可哀想なのは咲人なんじゃないの。
「…寂しい人。」
そう呟いて咲人の手を繋ぐ。
こうしていると昔の事を思い出した。
私が小さい時から熱を出すと、決まって咲人は会いに来てくれた。
大きくなってからは「家近いから届け物に来てあげただけ、ノートも1ページ100円で見せてあげてもいいよ」なんて言いながら、私のノートに勝手に写して帰ってくんだよね。
私の実家はいつも夜まで誰も居なかったから。
誰か帰ってくるか、私が眠るまで傍に居てくれた。
小さい時の咲人はこうやって手を繋ぎながら「一緒に居るよ」ってずっと傍に居てくれた。
こんな事、今更思い出すなんて。
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