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認められない
────Side Sakito.
まだ部屋が薄暗い、カーテンに遮光されて月の光は入ってこないそんな時間帯。
「(今、何時。)」
なんだか体が汗っぽくて気持ち悪さを感じていると、右手にぬくもりが伝わってきてそちらに目を向ける。
しぃがベッド脇に突っ伏す様に寝ていて俺の手をずっと繋いでいた。
小さな手で離さない様に。
そんな事が嬉しくなって、誰にも見られてはいないのに照れを隠す様に左手の手の甲で口元を隠す。
本当、危機感の無さだけは心配になるけど。
何だか懐かしい夢を見た気がする。
俺達がまだ子供の時の話。
あの頃異性とか同性とかそんなの関係無く仲良く遊んでいたはずなのに、俺達は何故か将来を誓い合っていた。
子供の頃の俺は自覚無く、しぃを好きで仕方無かったんだと思う。
幼稚園児のよくある話。
“大きくなったら結婚しようね”
みたいなそんな話が俺達にもあって、きっとしぃは記憶に無い。
俺だって忘れてたし、そんな懐かしい夢を見て思い出した。
ファーストキスがしぃだったって。
しぃも初めてだったと思う。
本当、懐かしすぎるガキの話に俺は少し笑ってしぃの頭を撫でる。
「あの頃からずっと一緒に居るのが当たり前だと思ってた。」
いつの間にかしぃは俺の事なんて興味も無くなってて、それどころか離れたがってた。
本当に可哀想な女の子だと思う。
────こんな厄介な幼馴染みに捕まるなんて。
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