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夏帆と雅
梨香と話した翌日。
私は咲人の家を訪れていた。
特に用事が合ったわけじゃないけど、今日は夏帆ちゃんが居るって聞いてたから。
ゆっくり話してみたくて。
家に訪れると夏帆ちゃんは快く出迎えてくれた。
「ごめん。咲人は出掛けてて。何か咲人に用事だった?」
「ううん、今日は夏帆ちゃんと話したくてきたから良いの。」
「私?咲人の話?」
「違う。今日は夏帆ちゃんと雅くんの話を聞きたくて来た。」
そう言うと夏帆ちゃんはほんの少しだけ顔を赤くして「そんな面白いな話無いけどな。」と言いながら、温かい紅茶を入れてくれている。
「夏帆ちゃんと雅くんは先にどっちが好きになったの。」
「…うーん、私?雅?どっちだろ。」
「わかんないとかある?」
「大学時代の先輩なんだけどね、雅は。私一目惚れだったの。顔だけは本当好きでね。」
あの顔に一目惚れ、よく分かる。
誰しもが一目惚れしそうな顔してるし、うちの大学に居ても顔だけでいろんな女の人を虜にしたと思う。
「雅も一目惚れだなんて言ってくれたけど、実際はどうだったかわからない。あの時本当遊び人だったし、女の子が喜びそうな事簡単に言える男だったから。」
聞けば聞くほど咲人に似ている気がして、少し複雑だった。
咲人も女の子が喜びそうなセリフとか理解していたし、実際それで好きになった女の子にそんな気無いとか言って泣かせてるの見た事あるし。
本当雅くんの遺伝子濃いんだな。
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