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「最初お互い友達だよ~みたいな距離感で来た癖に、仲良くなってきた頃に縒り戻そうなんて迫ってきて、しばらく拒んでたんだけどね。今と関係性変わらなくていいから縒り戻そうなんて話して、家に入り浸ってじわじわ囲ってくるの。それで、思い切り特別扱いしてくるし、そんなの元々好きだった私からしたら…って感じでね」
そう言いながら夏帆ちゃんは少し笑って紅茶のカップに口付ける。
思い当たる節がある私は思わず口元を抑えた。
咲人も、やってる事ほぼ一緒じゃない?
「美乃ちゃん?」
「あ、や、なんでもない。」
だって、咲人がその話知る訳無いし。
知ってたとしたら、むしろそういう事するの嫌がりそうだし。
雅くんの遺伝子濃すぎでしょ咲人!
思わぬ話に両手で顔を覆った。
「咲人、美乃ちゃんの事好きなのね」
「へ?」
「見てたら分かるわよ。そっくりでしょ、雅と咲人」
そう言いながら笑う夏帆ちゃんにうんと返事はできなかった。
「美乃ちゃんは、咲人嫌い?」
「嫌い、じゃない。だけど、幼馴染みとしてずっと一緒に居たいなって思う。変わりたくないの。」
「…そっか、幼馴染みだとそういう悩みもあるんだね。」
本当に、幼馴染みじゃなかったらもっと別の形が咲人とも合ったんじゃないかと思うと、少し複雑ではある。
幼馴染みじゃなかったらもっと純粋に咲人を好きになれて、変わりたくないより近付きたいって思えたのかな。
咲人は私を小さい時から知らなかったとしても今と変わらず好きだって言ってくれた?
この距離感を好きって勘違いしてないって言い切れる?
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