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「幼馴染みって確かに周りより距離近いかもしれないけど、それを除けばただの男女だからね。家が近くてずっと仲良しだっただけの男女。だから、変化なんて小さな出来事で変わってどうでも良くなっちゃう物な気がするんだよね。」
夏帆ちゃんの言葉にうんと首を縦に振る。
確かにずっと変なこだわりを持っていたのは私だけなのかもしれない。
それにあんなに人に好かれる咲人が私を好きなんて信じきれてなかっただけ。
多分、私が好きかどうかわからないから、咲人の気持ちを理解できなかった。
あんな遊び人が私を好きって…。
それでも、いつも何かある度に傍に居てくれた咲人と、あの寂しい部屋に私との思い出を飾ってくれていた咲人。
今やまっすぐに好きって伝えてくれる咲人。
咲人と変わりたくないから、誰かと付き合いたくないなんてこんなの…。
それに梨香に咲人が他の誰かとって話をした時、嫌だって思っちゃったの。
私の中で咲人が誰よりも近い存在だから、咲人にもそうであってほしいって思っちゃう。
でも、咲人と恋人同士になってうまくいく…?
「夏帆ちゃん、私には勇気が無いよ…」
「案外、咲人に委ねてみたらうまくいくかもよ。咲人は私の事好きなんだなって思いながら日々を過ごしているだけでも、きっとうまくいく。」
そう言いながら笑いかけてくれる夏帆ちゃんを私は見つめる事しか出来なかった。
夏帆ちゃんは好きな仕事をしながら、雅くんとそういう風に過ごしてきたのかな。
「後は、咲人と話してみる、とか?」
声の方を見ると、雅くんがドアの所に凭れ掛かりながらこちらに話しかけてきていた。
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