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待てない
帰省中はひとまず話しても誰に聞かれるか分からないから、帰省が終わった後に話す事にした。
帰省中は案外咲人に会わないもので、向こうに居る時よりも全然顔を合わせていない。
咲人だって地元に友達いるけど、いつもこっちに帰ってきて考えてしまうのは他の女の子に会ってるんじゃないかって。
高校時代の咲人は本当に遊んでいた記憶しかない。
大学に入ってからはほとんど家に居るから本当に遊んでないみたいだけど。
「(何で、私がこんな事でもやもやしなきゃいけないの…。)」
気付けば咲人の事ばかり考えて嫌になってくる。
自分の部屋で籠っていると、下の階から声が聞こえてくる気がする。
咲人…?
気になって自分の部屋のドアを開ければ、ちょうど咲人が2階の階段を登りきった所で目が合う。
「お出迎え?しぃが?珍しい事もあんだ」
「…何で来たの」
「寂しがってんじゃないかなって。俺に会えなくて」
「寂しいわけないでしょ。帰ったらまた家にずっと来るくせに。」
そう言うと「それもそう」と言いながら、私の部屋に遠慮なしに入ってくる。
相変わらずこの癖はどこに行っても一緒。
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