待てない

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「待って、咲人…。」 「待たない。今逃して冷静になったら、しぃやっぱ無理とか言うじゃん。」 それも図星だから何も言い返せない。 こんなにドキドキしてしまうなんて、こんなの少しずつ認めていくしかないのか。 「俺はしぃが好きだからもっと近付きたいよ。しぃが無理ってなったら戻るからお願い。俺と付き合お。」 「…嘘つき。絶対捕まったら離してなんかくれない。」 「すぐに嫌って言わないしぃも満更でもないくせに」 そう言って私をグッと引き寄せて抱きしめてくる。 「返事は?」 「…うん」 それだけ返事をすると、ほんの少し笑ってそして耳元で囁く。 ─────────離してあげられなかったらごめんね。 ごめんねなんて思っても無いくせに。
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