この執拗な愛からは逃げられない

恋人同士？

『ええー！ついに！？おめでとう！』

「おめでとうって言ってもお試しなんだってば…」

『またそんな事言って！美乃だって咲人王子が好きなくせにぃ』

梨香に電話で報告をしながら、夜料理をしていた。

今日はスープとサラダとオムライスにするつもりだったんだけど、知らず知らずの内に2人分作っていた事にハッとした。

何で私咲人の分まで…。

もう来るのが当たり前みたいに作ってて急に恥ずかしくなってその場にしゃがみこんだ。

あいつがほぼ毎日来るから…。

『しぃちゃん？』

「しぃって呼ぶな！」

『こっわ』

電話の奥で私のリアクションを聞いて笑っている。

その名前で呼んでいいのは咲人だけだからとかそんな可愛い理由で怒っている訳では無い。

今は咲人の事を考えると駄目だから。

顔の熱が逃れてはくれない。

恋人同士って思うだけで何でこんなにも照れくさくて浮かれてしまうんだろう。

人生初めての恋人があんな男で良かったのかは甚だ疑問だ。

深谷くんみたいな人が人生初めての恋人が良いなんて思ってたのに、私の人生初の恋人は悪魔みたいな男。

どこで何を間違えたら咲人と付き合うになるんだ、私。