3.片翼の天使

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 来夢の部屋は綺麗に整頓されていました。 「こっち来ないの?」  ベッドに腰かけた来夢の低くて甘い声に、私は顔を背けました。恥ずかしくて、来夢の顔を見ることができなかったのです。来夢がペットを呼ぶように膝をポンポンと叩くものですから、私は俯いたままベッドに近付き、手を引かれるまま来夢の上に乗りました。じんわりと来夢から良い匂いがして、頭がくらくらしてきた私は来夢の首筋をちろちろ舐めていました。 「ごしゅじん……私をご主人様の性奴隷にしてください」 「いいよ。あーあ、彼氏いるのに最低だね」 「夕方から勉強会で会うから大丈夫です」 「うわ、俺の匂いつけて会うとかバレる気満々だろ」 「純粋すぎて手を出してこないからバレないんじゃないかな~って」 「はははっ! ご開帳~」  私の顔は恍惚(こうこつ)としていたことでしょう。一日は長いです。まして、大学入学まで二カ月もありました。二回目、三回目、来夢と会っている間は寂しくありませんでした。
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