《パートナー》

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《パートナー》

 白潤の獣は空を駆け抜けて雲を走る。それでも撫でつける風が優しくて怜奈は夢見心地になっていた。 「すごいね! 空がキラキラしてる!」 「ふふっ。それは良かったよ。……さぁ、天界に着くよ」  すると空高くある島にたどり着いたかと思えば、白く輝く獣は元の姿……江里子に変わっていた。江里子は怜奈の手を取って走り出す。 「天界の王に会いに行こう! 怜奈は私が見込んだパートナーだから大丈夫だよ!」 「パートナーって、ちょっと! いきなり走るな~!」  きゃいきゃい言いながら二人は走り抜けて城へとたどり着いた。  大きな城の中に入ると獣が居た。江里子が言うにはこの獣こそが天界の王であるようだ。 「来たな江里子。待っていたぞ」 「お待ちして頂きありがとうございます。王様、私のパートナーがついに見つかったのです」 「……この者か?」  王は怜奈を凝視し見定めるような視線を向けた。怜奈はなにがなんだがわからないでいる。江里子が天使のような笑みでにっこりと微笑んだ。 「この者……いえ、怜奈は私が人間界に来て初めて仲良くなった者です。そして私は感じ取りました。――怜奈にはパートナーとしての素質があると」  未だにパートナーというのがわかっていない怜奈に江里子は続ける。 「私は人間界ではまだ未熟です。それに、立派な獣になるにはパートナーの存在が必要だとはご存じでしょう。……怜奈、私の使い手として、立派な毛元としてなるためにパートナーになってくれないかな?」  大きな黒目とあどけない瞳に撃ち抜かれ、怜奈は勝手に首を縦に振っていた。この可愛さには勝てない。  そして怜奈は江里子を見守るためにパートナーとして生きることになる。 それは王からも約束されたことであった。
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