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「ねぇ、聞いてる?先輩」
そう言いながら私の顔を覗き込んでくる。
その姿が何だか可愛らしくて見てしまう。
だめだ、御子柴くんですらわんちゃんに見えてきた。
絶対名前に引っ張られてるけど柴犬。
人の顔とか遠慮なく舐めてくるタイプの柴犬だと思う。
「犬っぽいって言われない?御子柴くん」
「は?何言ってんすか。先輩」
怪訝な顔をして異常者を見る様な目で見られている。
そりゃそうだ。
きっと疲労感からおかしな思考と言動をしているに違いない。
片手で頭を抑えて、短い手足を使って一生懸命散歩しているマルチーズを見る。
「てか名前どうします?」
「マル」
「え、マルチーズだから?」
「うん、マル。」
迷う事無く決めると御子柴くんが苦笑いして「良いですけど…」と言いながら、一生懸命歩くマルに「お前の名前はマルだってよ」と笑って話しかけている。
もう飼ってしまったんだから、悩んでも仕方ない。
今日から私は家族としてこの子に愛情を注いでいくだけだ。
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