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「あれ、御子柴は?」
「残りの試合も見て1人で帰るって。」
「まあ、1人になりたいんだろ」
そんな部員達の会話を黙って聞いていた。
1年にしてプレッシャーと戦ってきた彼を誰も称えようともしない、労おうともしなかった。
私はそんな様子を見て見ぬフリは出来なくて会場の中に戻った。
「結乃?」
「ごめん、打ち上げ私の分はキャンセルしておいて。用事思い出した。」
これから勝っても負けても全員で集まる予定だった。
私はとてもそんな気になれなくて、御子柴くんの元へ向かう。
毎朝頑張っていたの私は見てたから。
誰よりも頑張ってたの見てたから1人になんて出来ない。
会場内はまだにぎわっていて、御子柴くんは客席側から柵に腕を乗せてコートを見下ろしていた。
目が若干赤く腫れている。
もう1人で充分自身を責めたんだと思う。
そっと御子柴くんの隣に行くと、彼は驚いた表情でこちらを見ていた。
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