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「あれ、先輩。打ち上げは?」
「私も一緒に見ようかなって思ってキャンセルしてきた」
「…先輩、ごめん。俺、毎朝付き合わせて格好つけてたくせに負けて。」
そう言って私に向けていた顔をコートの方にまた戻した。
「…格好つけてたじゃなくて、格好良かったよ。」
「え?」
「誰よりも努力して、あそこまで戦えた御子柴くんは格好良かった!」
元々超強豪校で元々張り合えるはずじゃなかった高校と互角で戦えたんだ。
そうなるまでチームを持って行ったのは間違いなく御子柴くんのお陰で格好悪いわけが無い。
お世辞でも何でもない、事実だ。
御子柴くんは少しだけ顔を赤くして私の方を見ると、その顔をタオルで隠してしまう。
「あ~、もう。こんなん言える訳ない。慰めてもらって…。」
「何の話?」
「言えねぇし!先輩の馬鹿!」
「はあ?そんな生意気な男にはご褒美無いからね」
「それは無理、何のご褒美か知らねぇけど」
「結乃先輩と一緒にお好み焼き食べに行けるよ」
「絶対速水先輩食いたいだけですよねそれ。絶対行くし」
「素直にそう言えばいいの」
そんな会話をしながら私は御子柴くんと大会の打ち上げを2人で行った。
それから私達の関わりは少なくなって、遠方の大学に私が行った事で彼とは連絡すらも取らなくなった。
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