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一
あの日から、妙にその姿が視界に入る。
無造作に整えられた黒髪。時折、少し長めの襟足の髪だけを緩く結んでいる。
前髪から覗く、切れ長の綺麗な二重。薄い唇にはいつも笑みが浮かんでいる印象がある。
彼の制服の前はいつも軽く寛いでいて、全体的に飄々とした印象を与える人だった。
華やかなグループの中にいて、みんなに合わせて騒いでいるかと思えば、フッと退いて、集団の中、まるでひとりでいるかのように見える時もある。
いずれにしても、僕とはまったく異質の存在に違いない。共通点なんて、男で同じクラスだということくらい。
僕は制服のネクタイすら緩められない、地味な眼鏡の『図書委員』だ。
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