5人が本棚に入れています
本棚に追加
高校生になった今年、僕たちは同じクラスになった。
中等部からの内部進学生の僕と、高等部から入学してきた彼。
彼はあっという間に新しいクラスに馴染み、一方で、もう中等部から四年目の、壁の花のごとく、存在感のない僕。
同じ教室にいてもう三ヶ月だけど、今まで一度も話したことがなかった……いや、二週間前までは。
二週間前、僕たちは初めて図書室で言葉を交わした。そして……なんだか不思議なやりとりがあって。
それ以来、僕はなんだか挙動不審になっている……ような気がする。
その時も僕は、教室の後ろの出口近くの席から、対角線上の窓際にいる彼を、頬杖をつきながらぼんやり眺めていた。
ふいに、彼がこちらを見た。
僕は慌てて視線を外し、まるで一生懸命勉強をしているかのようにシャープペンシルを動かした。
実際には……何だかわからない文字を羅列しただけだけど……。
もうその後は彼の方を見る勇気はなくて、彼が僕が見ていたことに気が付いたのか、それとも気にも留めなかったのか、わからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!