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高校生になった今年、僕たちは同じクラスになった。 中等部からの内部進学生の僕と、高等部から入学してきた彼。 彼はあっという間に新しいクラスに馴染み、一方で、もう中等部から四年目の、壁の花のごとく、存在感のない僕。  同じ教室にいてもう三ヶ月だけど、今まで一度も話したことがなかった……いや、二週間前までは。 二週間前、僕たちは初めて図書室で言葉を交わした。そして……なんだか不思議なやりとりがあって。 それ以来、僕はなんだか挙動不審(きょどうふしん)になっている……ような気がする。 その時も僕は、教室の後ろの出口近くの席から、対角線上(たいかくせんじょう)の窓際にいる彼を、頬杖(ほおづえ)をつきながらぼんやり眺めていた。 ふいに、彼がこちらを見た。 僕は慌てて視線を外し、まるで一生懸命勉強をしているかのようにシャープペンシルを動かした。 実際には……何だかわからない文字を羅列(られつ)しただけだけど……。 もうその後は彼の方を見る勇気はなくて、彼が僕が見ていたことに気が付いたのか、それとも気にも留めなかったのか、わからなかった。
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