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数日後、僕はまた図書室にいた。 図書室の開放時間が終わったので、後片付けを終えた僕は、ドアの札を『閉室中(へいしつちゅう)』に変える。 もう夏が近くて、17時を過ぎても外は明るい。 その頃、僕は図書室を閉めた後、司書(せんせい)に部屋の利用許可を貰っていた。僕は(かばん)から教科書とノートを取り出す。 ……どのくらい経ったのだろう。 僕はドアが、何度かノックされたことに気が付いた。 司書(せんせい)が来た?それとも誰か、忘れ物でも取りに来た? 僕は立ち上がり、ドアの窓が見える位置まで来たとき── 足が止まった。窓の向こうに見えたのが、桐原だったからだ。 僕は、なぜか立ちすくんでしまった。窓の向こうでは、にこやかな桐原の口が『あ・け・て』の形に動く。 開けない理由は──ない。開けるしかない。 僕は、鍵を開けた。
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