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「全員名前を書けたようですね。それではいきましょう。黙想!」
そうして、15秒間ほどの黙想がクラス全員で行われる。いつも、黙想では「算数の神様が私に宿りますように、宿りますように...」と願っているが、やっぱりいつもいつも、算数の神様は違う子に宿っちゃう。運が悪いのか、ただ努力していないだけなのか...と思っていると、始まりの合図が出た。
「始め」
この一言は、うるさいようにも静かなようにも聞こえた。他の子たちよりも少し遅れて鉛筆を持ち、テスト用紙に顔を向ける。始めの問題は、24+(31+6)という問題だった。予想通り、分からなかった。え?え?24+31を先にやるの??31+6を先にやるの?入れ替えるの?そんな疑問符が頭の上に髪飾りのごとく、突き刺さった。隣のやんちゃ男子をちらりと見てみると、もう2番の問題までいっていた。そんな男子なんかにも算数だけは遅れているんだなぁ...
「分からないの?」「分からなさそうだね。」「ホントに4年?」「ホントに4年。」
そんな小さい声が私の周りで飛び交った。隣の男子にも聞こえそうな声だったので一度振り向いてみると、真剣にテストに向かっていた。
「聞こえているのは私だけ?!」
あっ!みんなのテスト中に...声を漏らしちゃった...。
「静かにする時だよ?」「今テスト中でピカーンって急にひらめいたのに!消えちゃったよ!どうしてくれるのー。」
あっ...「ごめんごめん」と謝る私。あぁ...私ってば何しているんだろう。みんなも苦手教科としてあげている算数...なのに。私のバカバカっ!
「恥ずかしそうだね...」「恥ずかしそうだよ...」
また声が飛び交ってる!聞こえるのは私だけなの!?
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