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「オ・レの名前は小手指勉堂(こてさしべんどう)。一人称はオ・レ。名前わかりにくくてすまないね。算数以外の勉強はダメダメなんだ、こう見えてもなっ」と宙返りを披露した。妖精みたいなちっこいイケメン男子が、とてもとても小さくて細い指に指人形をはめて、一人二役の遊びごっこをしていたらしい。どうやら、「声変わりの魔」が得意らしい。髪の毛はすべて銀色に近いグレーで、男子用の細長い細長い、ワンピースを着ていた。
「ふぅん、私の名前は算田鳴数。ベンドーって呼んで良い?」
「勝手にしろよな。オ・レ、基本そういうのどうでもいいんだ。男子の場合はな...女子だったらほっとけねぇけど、女子力低そうだから混ぜてやる。」
ちょっと胸に刺さったけど、自覚しているので「ふん、ふーん」と聞き流していた。
「ていうかベンドー、算数以外の勉強はダメダメ、ですって?」
「うーん、胸に刺さる一言だが、ここはYesと答えておこう。」
「そうなのね、私と真反対じゃないの。そこで1つお願いがあるのだけれど。」
「おい、なんだよ…メンドークセーなぁ...ヤギの願いだからしゃーねぇ、聞いてやるよ。さっきの様子を見ていると算数に困っているようだな。」
「誰がヤギですって!?」「いや、オメーしかいねぇだろ。この声は算数の神を宿してほしいという願いがオ・レに聞こえたものだけしか聞こえねぇんだ。だからヤギの3つ隣の、スラスラっと問題を解く魔を宿してやがるようなやつには、オ・レの心の声は聞こえねぇんだ。そーいえば...なんでオ・レがヤギのことをヤギって読んでるかだぁ?自分で自分の名前をゆっっくり...ゆっっくり、呼んでみろ〜。」「へ?めいすう、めいすう、めーすう...はっ!?」「そーだ、そこだ〜。よくよく考えれば必ず答えが頭にピカーンとひらめいてくる。それが人間、それが算数さ!メェェェェ〜。というわけでオ・レはお前のことをヤギと呼ぶなぁ〜。シクヨロ〜。」
灼熱のベンドー地獄の算数ビシビシしばき、が始まってしまった。
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