運命を変える本

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 今の人生に満足している人間なんて、どのぐらいいるのだろうか。  よほどのお金持ちや成功者を除いて、ほぼすべての人々は自分の運命に何かしら不満を持っているはずだ。  そして僕もその中の一人である。  学校でも家でも部活動でも、代わり映えのない、冴えない毎日を送っている。  恋人がいるわけでもなく、たくさんの友人を持っているわけでもない。  ただ毎日つまらなく長いだけの授業をぼんやりと受けて、家に帰ってからゲームや読書をしたりして過ごす日々。  ああ、こんなつまらない運命を変えたい……。がらりと変えてしまいたい……。  僕は常々そう思っていたのだ。  初秋のよく晴れた日曜日の午後。  僕は何気なく近所にあった図書館に足を踏み入れた。  これといって目的があったわけではない。  ただの暇つぶしだ。  小説を読むのは昔から好きだが、これも趣味というほどでもない。
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