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それでもキャッチーなタイトルに惹かれて、本棚の前に立ったままで、しばらく読み進める。
ところどころで著者は、まるで宣教師のように「あなたの運命はこの先、必ず大きく変わっていきます」などと偉そうに述べている。
なんだか自分に酔っているような文章が延々と続いている。
四分の一ほど目を通したところで、うんざりしてきた僕は読むのを中断することにした。
本棚に戻そうとしたとき、最後のほうのページにはさんであったらしい一枚の紙がひらひらと床に落ちた。
前に読んだ人が栞の代わりにはさんでいたのだろうか……?
拾ってみると、それは名刺ぐらいの大きさに切った厚紙だった。
几帳面な字で、11桁の数字が並んでいる。これは電話番号か?
裏面には真っ赤な色をしたカラスのイラストがプリントされている。
必要とは思えないが、僕はその厚紙をポケットに入れた。
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