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ケースの中には十六個ほどの透明なビニール袋が入っており、すべての袋には真っ白い粉がぱんぱんに詰め込まれていたのだ。
おいおい冗談だろう。これはまさか……?
固まっている僕の目を、女は不思議そうに覗き込んだ。
「さあ、次はあなたの番よ。取引の代金はどこにあるの? 約束どおり二千万円よ」
どうやら、とんでもないことに巻き込まれてしまったらしい。
僕は一歩後ずさった。
女の怪しむような視線が痛い。
「二千万円という約束でしょ。さあ、お金はどこにあるの?」
ど、どうしよう。
もう一歩、後ずさった僕の背中に冷たい汗が流れる。
ふと背後に気配を感じ、ゆっくり振り返ると、図書館にいた金髪の男が、恐ろしい表情で僕を睨みつけていた。
男は女に言った。
「何を勘違いしてるんだ。取引の相手は俺だよ」
やっと状況が飲み込めてきた。
そうだったのか……。
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