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『綾継さんの写真集』綿貫健二
『題:綾継さんの写真集
僕の運命の一冊は、綾継春さんの写真集です。僕は綾継さんの大ファンです。中学三年生の時に、テレビで彼女の優しくて眩しい笑顔を見掛けて一目でファンになりました。以来、映画やドラマ、バラエティも出来る限り欠かさず見る様にしています。綾継さんは二十六歳で僕より十個年上です。だけどデビューは今の僕より若い時でした。才能があって凄いですし、努力も欠かさないのだと思います。そうでなければ台詞を覚えられないし、演技も出来ないからです。僕は小学生の時、学芸会で暮らすで劇をやったのですが、台詞がなかなか覚えられないし、頑張って覚えても緊張すると全部吹っ飛んでしまったので照明係に転向しました。だから、長い台詞をスラスラ言える綾継さんを見ていると尊敬します。
今回、綾継さんの初の写真集を買いました。普段は動いでいる姿を見る機会が多いのですが、写真なので、静止画でいつも同じ表情を浮かべています。B4盤で普通の本より大きくて、だからというわけではありませんが読んでいるととてもドキドキします。そして、二十六年間の内、写真を撮った瞬間、一瞬を切り取られたのだと考えると寸分違わぬ姿をもう一度取ることは有り得ないですし(そもそも人間を構成する分子は一カ月ほどで全て入れ替わるそうなので)、だけど写真集に収められた綾継さんはいつも同じ姿なので、写真って凄いなぁと感心しました。そして、瞬間を切り取った写真を印刷して、写真集にして販売して、僕達ファンの手元に届いたそのことが、奇跡的な確率のような気がしました。書籍の流通ルートとしては普通ですし、今でも本屋で売っているので特別希少なわけではありません。だけど僕が偶々テレビで見掛けたことに始まり、ずっと綾継さんのファンでいて、彼女を応援し続けて、販売された写真集を買えるだけのお金を持っていて、無事にゲット出来たという行程を考えると、写真の選定なんかと合わせてこの一冊と出会えたのはやっぱり奇跡的な確率なんじゃないかと思います。だから僕にとっての運命の一冊は綾継春さんの写真集です。
ただ、この感想文を書きながら少し悩みました。綾継さんは綺麗な人ですが、どんな性格なのかまでは僕は会ったことが無いのでわかりません。だから僕は綾継さんについて、外見と公開している情報と画面の中の振る舞いと写真集の顔しか知りません。それなのにファンを名乗ってもいいのだろうかと悩みましたが、「女優の綾継さん」という人を外見込みで好きなので、それで十分じゃないかと納得しました。これからも僕は綾継さんを応援します。そして、運命の一冊として、写真集は未来永劫保管し続けます。もし僕が結婚する日が来たとして、奥さんに怒られるかも知れません。それでも僕にとっての運命の一冊なんだ、とこの感想文を見せて納得して貰おうと思います。奥さん、高校生の僕に免じて許してやって下さい!
綿貫健二』
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