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『三者三様』田中徹
……さて、以上の話が僕の運命の一冊です。本当は、読んだ本の中から選ぶのが正しいのでしょう。ただ、困ったことに僕はそういう本にはまだ出会っていません。だけど宿題はやらなければなりません。そこで、発想を逆転させて、無いなら自分で書いてしまえ、と初めて自分で物語を書いてみました。当然、最初は上手く書けませんでした。だから、身近な人物をモデルにしました。大切な親友二人を登場させて、三人の話を創りました。そうしたら、一気に筆が進みました。綿貫君と橋本君が実際、どんな運命の一冊についての作文を提出したのかはわかりません。ただ、僕が想像して彼らの作文も書いてみました。考え方が合っているかどうか、後で彼らに聞いてみようと思います。
先生は、この宿題の意図はそうじゃない、と怒るかも知れません。だけど僕は、自信を持って、胸を張って、こう言います。これは僕の運命の一冊です。だって、初めて自分で書いた物語に、大切な、それこそ運命的な親友である橋本君と綿貫君を登場させられたのですから。彼らとの話を創れて、楽しかったし嬉しかったです。
田中徹』
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