11 だめ。リジーじゃなきゃダメなの

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 初めての相手はヨナン?  従姉妹?    私は奈落の底に落ちたように、ひゅっと息を飲んだ。 「俺は本物のヨナンの代わり。本物のヨナンは実在するからねぇ。これは隠しても、リジーにはいつかバレるんだから、アラン諦めなって」  諭すようにヨナン妃が言った。  私は絶句した。  本物のヨナンがいて、アラン王子の初体験の相手はヨナン? 「アラン王子の初めての相手は、本物のヨナン妃ということですか?」 「うーん。結婚はしていなかたから、ただのヨナンの時かな。俺と違って女性。イザークは俺の本名」  私は泣きたくなった。 「俺とヨナンは瓜二つなんだよね。政略結婚だったんだ。でも、アランがヨナンに惹かれて前向きになり、結婚が予定より早まった」 「政略結婚?」  私の耳が少し遠くなったのだろうか。  なんだか聞きたくないような、耳がふわふわする感じだ。  急激なストレスで聞こえにくい。 「イエスだ、リジー。元々、利権が絡む複雑な国家間の問題を解消するための政略結婚が仕組まれていた。ヨナンがアランとの結婚を嫌がって、仕方なく俺が身代わりになった」
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