221人が本棚に入れています
本棚に追加
「本物のヨナンが来ている」
えっ!
もう!?
早っ!
遊び人は行動が早いのかしら?
「わかりましたわ」
私はすましてそう言って、マリーに部屋に残るようにお願いして、アラン王子とイザークの後をついてヨナン妃の部屋に向かった。
ヨナン妃の部屋に入ると、侍女のルーシーが本物のヨナン妃に小言を言われていた。
「かしこまりました。昨日まではお一人で全てやると仰るので、大変申し訳ございませんでした。今日のお声は素敵ですね」
ルーシーはひたすら謝っている。だが、微妙に一言ずつ余計な発言が多いかもしれない。
「素敵に決まっているじゃない!当たり前の事を言われたら、イライラするから」
私たちが姿を現したことに気づいたヨナンは、すっと小言をやめて、ルーシーを下がらせた。
イザークが扮していたヨナン妃に、見た目はそっくりだ。ただ、胸は本物のようで、膨らみは今までよりかなり増している。
「こんなぽっちゃり……」
ヨナン妃はじろじろ私を見た。
「どこがいいの……?」
ヨナンはアラン王子に聞いた。
その言い方には甘い毒があった。
最初のコメントを投稿しよう!