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あっちやこっちに身を移りやすく、浮気者と言われたりする私。確かに振り返って考えてみると、ミステリー小説が好きだし、ビジネス書も魅力的だし、専門書もなかなか興味深いと思う。好奇心旺盛なのだ。自分で本を選んでいるわけではないけれど。
その時々によって異なるジャンルに出会い、それぞれに惹かれるのだから仕方がない。むしろ一途に尽くしているはず。まさに運命の出会いなのだから。
根暗な性格もあってか、暗く狭い場所がとても落ち着く。挟まれたときのあの圧迫感がたまらない。でも、勘違いしないで欲しい。私は決してドMじゃない。
どちらかと言えば、日の当たるところは苦手だ。なんとなく吸血鬼のような生態かもしれない。日々眠る暗い場所を求めているし。
睡眠時間は数時間と短いときもあれば、数日間と長いときもある。まあ、静かに眠ることが私の本分だから全く苦にならない。ただ心地良い寝所にありつけるかは運次第でちょっと困るかも。今日はどうだろうか?
ふと視線を気になる方向に向ける。すると…
『ふぁ〜あ』
あの人は呑気に欠伸している。そろそろ寝る時間かな?
『11時…もう寝るか』
やっぱり私の役目がやってきた。ちょうど区切りも良いみたいだ。半分よりも少ないくらいの量に見える。
ヨッコラショと私が目的の位置に収まるとそれはパタンと閉じられた。一瞬にして周囲が真っ暗になる。
ほおーっ、なるほど。今日はとても運が良い。う〜ん、なんとも言えぬ芳醇な紙の香り、そして重厚な硬めのベッド。真っ直ぐで平坦な私の背中から感じる反発力がこれまた最高。未読ページの量が抜群だ。
掛け布団の重さも私の好み。既読ページの量も最適だ。ピタッと挟まれているのが実感できて、なかなか気持ちが良い。
さて、ここでしばらく眠るとしよう。運命の一冊の中で栞として。
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