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「私と離婚してください。
……今日こそ、離婚してください?
もういいでしょう。
離婚してください」
ある意味、物騒なセリフをぶつぶつと言っている茅野の横を通ったカフェの店員が、ぎょっとしたように茅野を振り向く。
だが、茅野の目には、その店員の姿は入ってはいなかった。
此処は、一応、夫である茂野秀行の会社が入っているビル。
その一階にあるカフェだった。
ビルの中からも入れるし、外からも入れる扉がある。
時折、その両方を窺いながら、茅野は緊張した面持ちで、紅茶を飲んでいた。
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