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秀行は腕を組み、こちらを見下すように見下ろして言う。
「ともかく、俺に離婚して欲しければ、全額金を返せ。
自分で稼いでみろ。
そうすれば、自分のためにどれだけの金が動いているか、金を稼ぐのがどれだけ大変か、よくわかるだろう。
世間知らずの茅野お嬢様」
「か、稼ぐって、どうやって?」
少し図書館で働いていたことはあるが、そんなに稼げていたわけではない。
すぐに秀行と結婚してしまったし。
そうだな、と頬杖をついて、秀行は側を通って行く観光客らしい家族連れを見ていた。
にんまり笑って言う。
「そうだ。
結婚詐欺とかどうだ」
「は?」
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