2章 目的

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14<慎> 一度一線を越えるとその先はもう歯止めがきかなくなる。 平日は時間が全く合わない為、必然的に日曜日に俺のアパートに麻奈がきてセックスをして部屋で映画をみるというのがデートになった。 「来週はママとお出かけだから来れないんだ。ママとお出かけとかしなくていいから慎に会いたい」 「親と一緒にいられることは幸せな事なんだから、そんなこと言ったらダメだよ」 ふとそんな言葉が出てしまった。 別に責めようという気持ちはなかったが、両親がいる麻奈を時々羨ましくも妬ましくも思う時がある。 そんな気持ちに気づかれたのか麻奈がしおらしく「ごめん」と言って項垂れるのを見て罪悪感も感じる。 一体俺はどうすればいい? そんなことをいつも自問自答する。 「クリスマスイブは会える?」 「大学は冬休みだけどカフェが忙しいみたいでラストまで入る予定なんだ。麻奈は?」 「来月のシフトまだ決まってないし、私もラストまで入ろうかな?あと友人の所に泊まるって言っちゃおうかな?」 そう言って上目遣いで甘えてくる麻奈を抱きしめる。 「じゃあバイトの後、近くのイルミネーションを見に行こうか」 そんな風にクリスマスの予定が決まった。 年末年始は麻奈は家族で旅行へ行くと言っていたし俺は毎年北海道へ帰っている。 年越しの準備とじいちゃんと二人で古いしめ縄をお焚き上げに持っていくのは子供の頃からの行事になっている。 クリスマスを翌週に控えてプレゼントを考える。 ジュエリーショップの前に行きウィンドウに飾られているアクセサリーを眺める。 ミニトルソーに赤い石のついたネックレスが飾られているのを見て、ふとチェーンの切れた四葉のクローバーのネックレスを思い出し、おもわず拳を握りしめていた。 一度大きく深呼吸をしてから店内に入ると女性スタッフが声をかけてきた。 クリスマスのプレゼントであること、予算的はそれほど多くないことを伝えるとホワイトゴールドで作られた雪の結晶をモチーフとしたピアスを勧められた。 キスをするときに小さなピアスが付いていたことを思い出した。 勧められたピアスは長めのチェーンの先に付いていて留め具はなく後ろにチェーンを垂らすタイプのものだった。 最初にクリスマスプレゼントと伝えていたため、小さなボックスに納められたピアスは赤い包装紙に包まれグリーンのリボンをつけられものすごく小さな手提げの紙袋に入れて渡された。 それをカバンに入れると急いで大学に向かった。
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