2章 目的

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13<麻奈> 全てを見られて、触られたり舐められたりして恥ずかしいと感じたのは最初のうちだけだった。 気持ちいいと思っていると今度は苦しくて、でも目の前の慎がいつもと違って余裕がなさそうでその歪む表情がセクシーだと思ったあとは何が何だかわからなくなった。 肌がピッタリと当たっているところはすごく熱くてジワジワと本当の恋人になれたことへの喜びが溢れてきた。 とてもシャワーを浴びれないと思ったら、温かいタオルで体を拭いてくれて、そういうスキルが同じ年なのに随分違う気がしたけど、今、慎の恋人は私なんだと少し誇らしく思った。 髪を撫でられていることに気がついて目を覚ましたら、慎の顔が寝起きのパパと一瞬被ってしまった。 それで思わず「ヒゲって伸びるんだね」と言ってしまったら朝から恥ずかしい事をされたけど、求められる事ががこんなに幸せなんだと思った。 「バターロールを買ってあるんだけど」 「湯をためたから風呂に入ってくるといいよ。それとも俺に連れて行ってほしい?」 「大丈夫です」 そう言ってはみたけど、何だか下腹部がじんわりと痛いしなにか挟まっている感じでモタモタしていると「狭いからお姫様抱っこは無理だけど」と言って支えてくれた。 バスタブに入ると温かくて体がほぐれてくる。 それと同時に、昨夜と今朝のことを思い出してはニヤニヤしてしまう。 私って変態かな? お風呂から上がったらバターロールに切り目を入れてそこに玉子焼きとキャベツの千切りが挟んであった。 「簡単だけど」 「美味しそう」 テレビを見ながらバターロールとコーヒーの朝食を二人で食べる。 「デート行こうか?」 いつも忙しくて疲れているのに私との時間を作ってくれる、二人でいられればどこにも行かなくてもいい。それが本心だけど、でも私の彼はとても素敵なのと自慢もしたくなる。 「私が通っている大学が学園祭をやってるの」 「学園祭かそう言えば、俺の大学もやってるみたいだけど、夜間の学部だとあんまり実感がないんだ。せっかくだから麻奈の大学の学園祭に行く?」 「うん。行こう」 学園祭の出店で何人か知っている人に会った。 特に何も言わないけど慎と私は恋人感がすごく出てるはずだからきっと皆んなにも伝わっているよね。 昨日の私と今日の私はちょっと違うのよ。 なーんてね。 家の近くまで送ってもらって夢のような1日は終わってしまったけど、慎と私はこれからもまだまだ続くんだと思うと自然と笑みが溢れた。
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