1.ふたりの食卓

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*****  二十五歳の母親と、十七歳の息子だ。  誰も信じない。  というか、そもそも母子になったわけではない。  いわゆる、後見人というやつだ。  それも本当の後見人は翠さんの弁護士であって、彼女自身ではない。  だから、俺たちの関係は、実のところ同居人だ。  母さんの葬儀の後、俺は翠さんのマンションに引っ越した。  手続きは全て、弁護士がやってくれた。  高校は今まで通り、通い続けることになった。  それから、俺は母さんと暮らしていた時より三十分早く起きるようになった。  学校までの距離はさほど変わっていないのに。  変わったのは、習慣。  母さんと暮らしていた時、朝ご飯はほとんど食べなかった。  母さん自身朝に弱く、朝ご飯を食べないことがほとんどだったから。  けれど、翠さんはそれを嫌がった。  それ以前に、引っ越してきたその日に言われた。 『ご飯を一緒に食べよう。せめて、朝だけでも』  俺は初対面から彼女にタメ口で、なんなら見下すような言動なのに、彼女は俺にとても柔らかくて優しい口調で話す。  俺はそれが、嫌ではなかった。  だからというわけではないが、朝ご飯は一緒に食べるようにしている。  実のところ、朝ご飯をきちんと食べるようになって、調子がいい。  母親が亡くなって数週間だというのに薄情だが、そうなのだ。
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