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2-1 再会は小説よりも小説のようで
【ショウ、お前、文学賞にはなにか出さねぇのか?】
帰りの地下鉄。
ドアが閉まったとき、ちょうど鬼泪山からのメッセージが届いた。
相変わらずの曖昧な文章。
【文学賞? なんの文学賞のことを言ってるんだ?】
【この時期なんだから、『竹邉書房』に決まってるだろ】
そうか。
もう今年もそんな時期だ。
ヒューマンドラマを書かなくなってからこっち、もうすっかりこの文学賞のことを気に留めなくなってしまっていた。
かつて、『いしずえ翔』が意気揚々と挑戦を続けた、この『竹邉ノベルズ文学賞』。
ヒューマンドラマ、恋愛、エンターテイメント、SFの四部門があり、それぞれ短編と長編に分けて募集されるが、異世界書きの『恒河沙』にはなんら関係の無いコンテストだ。
【出さないよ? 興味も無い】
【そうか? お前が本気を出してヒューマンドラマを書きゃぁ、絶対入賞できると思うんだけどなぁ】
【そんな簡単に行くか。第一、僕はもうヒューマンドラマは書かない】
そう返信したとき、ちょうど地下鉄の列車がホームへと滑り込んだ。
ドアが開く。
そして車内を見回しながら、小さくひとりごちた。
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