2-1  再会は小説よりも小説のようで

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 いまどの辺りを走っているのかなど、まったく気に留めていない様子。  もう次は、愛加里さんが降りなければいけない駅だ。  まさかと思うが、このまま乗り過ごしてしまうのでは……。  いや、それは要らぬ心配。  かなりのドジではあるが、おそらく僕より少し年上。  しっかりと定職を持って生活している、自立した立派な社会人だ。  画面に集中はしているものの、ちゃんと車内のアナウンスは聞いているはず。  電車が速度を落とした。  ブレーキ音が響く。  ぎゅっと慣性から引き戻され、踏ん張った足の力が抜けた。  一斉に開いたドア。  ダメだ。  やっぱり気づいていない。 「愛加里さんっ、駅、駅っ」 「ええっ?」  ハッと顔を上げた彼女。  そして、いつぞやと同じく「うわ」なんて言いながら飛び上がると、彼女はバタバタとドアへ向かって駆け出した。  思わず顔をしかめた。  ドドンとドアにぶつかりながら、彼女がホームへと転げ出る。  直後、カタンと音を立てて閉じたドア。  ギュンとモーターの音が響いて、再び列車は滑り始めた。  見ると、窓の外には思いっきり僕を睨みつける彼女。  教えてやったのに、その顔か。
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