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最強モンスターを育てたい!
「初めまして、勇者さん」
トラックにはねられて、気づいたら真っ暗な闇の中。目の前には金髪の女神様がいて、僕の顔を覗き込んできている状態。そして、勇者さん、という呼び名。
僕は気づいた。これはあれだ、最近流行りの異世界転生というやつなのだと。
「突然ですが、あなたは死にました。そのまま転生して異世界で勇者になってくださいお願いします」
「ど、導入雑……。え、なに?あんた異世界の女神様的なやつ?」
「的なやつだと思っていただいて結構です。さあ戦ってください勇者様」
「いやいやいやいや最低限の説明はしようよ、ねえ!」
どうやらこの女神様、かなりいい加減な性格らしい。巨乳の十五歳くらいの美少女、な見た目はかなり好みだけれど、さすがに世界観の説明もしないでほっぽり出されるのは困る。
ていうか、僕は普通に今日学校に行く予定だったのだ。ただの十四歳の子供なのだ。うっかりトラックにはねられて可哀想でしたねとか、大丈夫でしたかとか、連れてきてしまってごめんなさいとかそういうのはないのだろうか。
「えっと、とりあえず、私の世界は魔王に襲われてて困ってるんで助けてください。私の世界の人も私に似てめんどくさがり……げふんげふん、非力なので魔王を倒すことができないんです」
「今はっきりめんどくさがりって言った?言ったよね?」
「気のせいです、気のせい。何でもチートスキルあげるから、さっさと倒してきてください。うまくいったら異世界に永住してもいいし、元の世界に返してあげてもいいです。トラックの運転手さんに事故起こしてもらう前の時間に戻してもいいですし」
「事故起こしてもらう!?」
あれ、これ僕、この女神様に殺されてない?と冷や汗だらだら。
何にせよ、元の世界で生き返るためには、この世界で魔王とやらを倒すしかない。
正直僕も、すごく気が進まない。面倒くさがりなのは僕も一緒なのだから。戦うとか、そういう痛いのもごめんだ。なら。
「……チートスキル貰えるんですよね?じゃあ、僕にどんなモンスターでも最強無敵に育てられるチートスキルください。僕のかわりに魔王と戦って倒してもらうんで」
どうせチートスキルもらえるなら、他の奴に頑張って貰えばいいのだ。
最初に見つけた動物でも虫でも強く育てて、そいつに全部任せようと決める僕。チートスキルなんだから、きっとなんとかなるだろう。
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